2024年東京都知事選での問題行動の備忘録
2024年7月7日、過去最多56人が立候補した東京都知事選の開票が行われた。
期日前投票数は前年比で20%増、投票数においても5%増。多くの人の注目が数字としても露わになった今回の都知事選だが、結果としては全投票数の40%強を獲得する形で、現職・小池百合子氏がそのまま3選を果たすこととなった。女性初の都知事として2016年からその任に就き続けて早8年、良くも悪くも選挙時の「安牌」となっている現状、早い話ではあるが、いずれきたる4期目の当選も(小池氏自身の体調に異常がなければ)ほぼ確実と見ていいのではないだろうか。今回の最多立候補者の混沌した選挙を一人勝ちした結果は、十分に大きい。
一方で、掲示板に貼られた不適切な選挙ポスターや、政見放送で過激なアピールを繰り返すパフォーマンス等の候補者の問題行動が、メディアやSNS上で大きく話題になっていたのが今回の都知事選では特に印象深い。過去の都知事選を始めとする選挙活動で類似した例がなかったわけでもないだろうが、こと今回の都知事選においては選挙結果に繋がらないであろうアピールをする広報内容が多かったように思える。
個人的に最も悪質だと感じたのは、選挙ポスター掲示板に候補者ではない人物の写真を提示し、さらにそのポスター内に記載されたQRコードを読み取ると、選挙と全く関係のない有料SNSサイトに繋がるというものだ。選挙活動を宣伝効率の良い商品アピールの場と勘違いしたかのような振る舞いではあるが、少なくとも今回の都知事選では公職選挙法に抵触しないとして見過ごされたようである。
法の範囲内で自由にやっているといえば聞こえは多少いいが、このまま規制しないのならば、いずれは海外企業を巻き込んでの詐欺商品の喧伝の場になり下がることも想像に難くない。そのしわ寄せは情報リテラシー能力の劣っていく年配者、あるいはまだ未熟である若年層に及ぶことだろう。有料SNSサイトであればまだかわいいものだった、というような話に発展しないうちに手を打つことが必要である。