【感想】『ホワット・イフ…?』1話が面白かったのでお勧めしておきたい
『Disney+』の独占作品として『ホワット・イフ…?』が配信開始された。
マーベル・スタジオ初のアニメ作品として作成された本作は、タイトル通り、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の「もしも」を描いた番組である。『ワンダヴィジョン』や『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』と同じくMCUのフェーズ4に連なるものの、やや毛色が異なっていることは否めない。
しかし実際に配信された1話を見たところ、その出来は期待値をだいぶ上回るものとして仕上がっていた。さすがマーベルというところもあるものの、単純にお話のつくりが良かったので記事として紹介しておきたい。
第1話「もしも…キャプテン・カーターがファースト・アベンジャーだったら?」は、その名前の通り映画『
キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』のもしもを描いた回である。物語はスティーブ・ロジャースが超人血清の実験を経てキャプン・アメリカとなる直前、彼が襲撃事件で銃弾を受けて負傷しまい、エージェント・カーターが咄嗟の判断で超人血清を自身に打つところから始まる。元となった映画でスティーブが筋肉隆々となったように、エージェント・カーターも男顔負けの体格を手に入れる。
しかし当時の時世から察せられるように、 女性であるエージェント・カーターは戦場には行かせては貰えない。サンプル用の採血を延々と取られる日々に悶々とする彼をなだめるのは、超人にならない運命となったスティーブである。一見すればファースト・アベンジャーで見たことがある風景なのだが、しかし記憶にある風景とは全く違う風景がその後も展開されていく。それはバッキー救出作戦で決定的なものになるのだが、ネタバレ防止で詳細な記述はここでは省略しておこう。
『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』 を既に鑑賞していることを前提にしているため、アニメの展開はとてもスピーディーだ。序盤を省略しているとはいえ、 元々2時間の映画を30分の作品に圧縮してあるのがそれに拍車をかけている。しかし、それでいて映像作品として大変面白く仕上がっているのはこの作品が非常にオリジナリティに満ちているからであろう。エージェント・カーターがキャプンの称号を冠したことをきっかけにして、変わっていく世界。そこには一瞬の目の離しどころもない。
単純に映画の構成にとどまるのではなく、新しい魅力を作り出すことに成功しているなと素直に感じた次第である。正直この1話の密度がだいぶ濃ゆかったため、次話以降が見劣りするのではと心配になるレベルだ。作り上げてしまったハードルをどのように超えていくのかは気になるところだが、少なくともまだ見ていないという人には是非にも鑑賞をお勧めしたい作品である。「もしも」としての展開がウリでもあるので、興味がある人はネタバレを踏まないうちに早急に見るように。