2年ぶりのMCU映画『ブラック・ウィドウ』が超絶面白かった話
数回の延期を乗り越え、遂に2021年7月8に劇場公開された『ブラック・ウィドウ』。
特殊能力を持たないブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフが主役という本作。正直、「どうしても派手さに欠ける映画になるかなぁ…」と思っていたのですが、その予想は見事に覆させられ、超絶面白い作品に仕上がっていました。
完成度でいっても、単独映画ベスト5には入れられると思います。みんな見て。
2020年5月に公開予定だった『ブラック・ウィドウ』。
マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)のフェーズ4初の劇場作品としてファンから待望されていた本作は、不運なことに某感染症の世界的流行により1年以上の延期を余儀なくされました。
『ワンダヴィジョン』や『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、そして『ロキ』といったフェーズ4作品がDisney+で配信されていたものの、劇場で見てこそなんぼ!といったファンは寂しい1年を過ごしたことでしょう。ぼくは、そう。いやワンダヴィジョンもファルコン&ウィンター・ソルジャーも面白かったけどね!
1年以上の延期をもって公開されたブラックウィドウは、超絶面白い!と断言できる作品でした。
延期云々の話は抜きにして、特殊能力を持たないブラック・ウィドウが主役の作品である以上、派手さに欠ける作品には仕上がるかなぁと予想していた。
安直な意見だが、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフは空は飛べないし、移動にはヘリコプターやバイクを使用せざるをえない場面が多い。
想定される敵も彼女とさほど身体能力に大差はなく(大差があると他のアベンジャーズメンバーが出演しないといけない)、他のアベンジャーズメンバーの単体作品と比べると、アクションシーンにはどうしても制限が出てしまう印象があった。
とはいえ映画はアクションが全てではない。
日本映画でのキャッチコピーは「何も信じるなーー過去、家族、自分さえも」だし、他者との信頼関係をテーマとして描いた映画になるのはずだ。
ぼくはそういう内面描写大好きなので、そこを主軸に映画が展開されるならそれもまた良し。
……そう思っていた。
誰だこのキャッチコピー通したヤツ。全然違うじゃん!!
まだ見ていない人も想定している記事なので内容のネタバレはしないけど、キャッチコピー詐欺だよこれ。
主軸は前述した予想とはもっと別のところにあって、このキャッチコピーで通じるのはそれこそ映画冒頭の部分だけだと思う。
分かる人にだけ伝われば良いけど、映画としてのベクトルは『ブラック・パンサー』に近い。
具体的なキャッチコピーをつけてしまうとダサくなってしまったかもしれないけど、まだそっちの方が良かったのではないかなと感じてしまう。
題材自体も『ブラック・パンサー』に負けず劣らずといったもので、映画としてのエンターテイメント性は保ちながら難しい部分を取り扱っている。テーマ対象になっている人全てに刺さるとは思わないけど、刺さる人には刺さるんじゃないかなと思う。
あとこれはぼくが悪いのだけど、アクションシーンについては完全に見誤っていた。
確かにブラック・ウィドウは空は飛べないし、長距離移動するにはヘリコプターやバイクを使用せざるをえず、今作のヴィランであるタスクマスターとの戦闘も基本的には悪戦気味です。
しかし、製作スタッフがそれを踏まえている。製作側としては当然なんだろうけど、どのシーンもこちらの想定したラインを必ず越えてきてくれました。さすがのマーベルスタジオ。
例えば予告シーンで出されている空中戦。飛行能力を持たないブラック・ウィドウだからこそ、といった展開であのシーンを仕上げてある。飛べないブラック・ウィドウだからこそ、そこを強みに変えてシーン構成しているのが見て分かって感動しましたね。
さすがのマーベルスタジオ(2回目)といったところ。アクションシーンの数自体は少ないものの、メリハリが効いていて実に良いものでした。
映画『ブラック・ウィドウ』は、タイトル通り「ブラック・ウィドウ」を中心とした物語。
そこを彼女と共に彩るのはナターシャの生き別れの妹、父、母。
予告の方からにじみ出ていますけど、この家族が揃った場面は基本的にコントなので楽しみながら鑑賞できます。
特に妹のエレーナの軽口はクセになりますね。PV以上に面白い子だった。ソーやピーターと相性良さそう。
そろそろ〆の文に入りますが、そういえば、この映画もう一つキャッチコピーがありましたね。
「孤独な暗殺者ブラック・ウィドウは、なぜアベンジャーズになったのか――?」
というヤツ。
これはちゃんと描いてあるので、まぁ身構えなくて良いと思います。
この物語を経て、アベンジャーズを「家族」と言ったブラック・ウィドウ。
彼女がどういった気持ちでエンドゲームのあの選択を取ったのか。
恒例のエンドロール後のパート、エンドゲームと絡むところがあるので見直して見ても良いかもしれません。