Twitterで評判良かったので、最終話がAmazon Primeで配信されたタイミングで鑑賞開始。
　結果、３日で見終えました。感情と感想をぐちゃぐちゃにされて虚無顔になっちゃったよね。

　個人タクシーのドライバーである無口なセイウチ・小戸川。
　医者であり友人のゴリラ、旧友で清掃員のシロテテナガザル、いきつけの酒屋のカンガルー…
　そして客であるたくさんの動物たちと関わりながら、彼は今日も東京の街を走っていた。
ある日、練馬の女子高生が行方不明になった。
　何気ない小戸川とタクシー乗客の動物たちの会話は、彼女の失踪へとゆっくり繋がっていく。

　あらすじ的にはそんな感じ。
　ここまでの文で気になった人は、速攻でAmazon Primeでオッドタクシーを見てください。
　この手のアニメ作品の常だけれど、ネタバレ踏まないうちに見るのが一番楽しめます。こんなブログ記事読んでいる場合じゃない。早く物語の最後を見届けてくれ。
　キャラデザは確かに万人受けするというわけではないけど、大丈夫、慣れる。


　まだ手が伸び悩んでいる人には「ミステリー」「サスペンス」「群像劇」「サイコパス」「カポエラー」「承認欲求youtuber」「地下アイドル」「ガチャ廃人」「ラッパー」「漆黒の意志」「吐き気を催す邪悪」「ガチサイコパス」というワードをぶつけておきます。多分見たくなっているはず。
　ダメな人は下の文まで読んでください。


　

　この作品、「あ、無駄がないな」というのが初見でもすごく分かるんですよね。
　リアルタイムでは放映終了後に考察斑がこぞって活動していて、これからの展開に色々と考えを巡らせていたという話も納得。

　１話から要素を抜粋すると

• 小戸川が話し掛ける、押し入れに隠れ潜む”何か”
• 落語家の謎の消しゴム
• タクシーからドライブレコーダーを押収する警察官
• 医者であるゴリラが心配する小戸川の症状
  
  

　という感じ。伏線だらけ。それが自然と無駄なく描かれている。
　感の良い人とか経験豊かな人は「これこういうことでしょ？」という予想が立てられるとは思うんですが、まぁ安心してください。
　一番凄いのが、さっきも書いたように「自然と無駄なく描かれている」ところです。

　例えば、１番最初の『小戸川が話し掛ける、押し入れに隠れ潜む”何か”』なんかはすごく意味深で描かれているんですが、
　２番目の『落語家の謎の消しゴム』なんかは、どちらかというとそのシーン前後の小戸川と医者のゴリラの会話が印象に残るんですよね。
　皮肉屋の小戸川の言う「ジェネレーションギャップアピールいらねぇんだよ」とか「ウィ・アー・ザ・ワールドのブルース・スプリングスティーンより唐突だな」とか。

　これに対応するゴリラの医者こと剛力、アルパカの看護師こと白川の会話も良いのです。
　伏線をシーンにのっぺり張るだけではなく、洒落た会話の中に入れ込んでいる。こういうのが積み重なって１３話のアニメ作品になっているのが、本当に強い。

　この作品にはyoutubeで無料配信しているオーディオドラマがあるんですが、これもまた良い味を出して素晴らしいのです。昨今だとyoutubeでオーディオドラマを配信すること自体は珍しくないのですが、オッドタクシーはその中でもうまく作品に取り込めている一例ですね。

　聞かなくても差し支えはほとんどないんですが、一度でもオーディオドラマを聞いちゃうともう終わりです。次に見返すときはオーディオドラマと１セットじゃないと我慢できない体にされちゃっていることでしょう。

　できれば本編→オーディオドラマ→本編→…と進めて欲しいですね。特に本編最終話とオーディオドラマはワンセットなので、是非。

　いや本当、見終えたあとは色々とこみあげてきました。
　１～３話までは存外普通のテンションで見ていたんですが、４話でお茶間では絶対映せないタイプのあの人が出始めてからは一変。物語全体のきな臭い雰囲気を隠そうともしなくなり、良い意味で振り切り始めてがっつり物語に引き込まれていきましたね。
　それでもまだ８話くらいまでは「×××ってつまりそういうことー！？」とか「オーディオドラマのお前ここで絡んでくるのー！？」とか「柿花…」とか、具体的な感想をTwitterで呟いているのですが、９話からは大体「えええええええええええええええええ」しか叫べていません。完全に脳と心をやられています。助けて小戸川。

　それでもなんとか立ち上がってはいたんですが、最終話に完全にやられました。特に最後。


　お前だよ。渋谷駅新南口でボールペン置いていったお前。


　何とか立ち上がったところにトドメを刺すオーディオドラマを含めて、あの流れは完璧だったと思います。

　何言っているか分からない人は早くオッドタクシーを見てくれ。２度目だぞ。

　それはさておき。
　４１歳の気難しいセイウチをやっている花江夏樹、ヒロインで色々と裏そうなアルパカを飯田里穂、地下アイドルでアイドルの金剛石やってるトイプードルを三森すずこ、ect…という感じで声優さんも良いところが揃っています。キャスト見よう。普段アニメを見ている人は全員知っているはずだし、たまにしか見ないという人もなんとなく目にしたことのある人が多いと思う。

　正直、自分も最終話配信後に手を出した身ではあるのでまだ作品を見ていないという人の気持ちも分かる。単純に動物キャラに興味が湧かなかった人もいるだろうし、他に見たい作品があって時間がとれなかった人、微妙にネタバレを踏んでしまって楽しめないかなーと思って敬遠しちゃっている人、他にも色々な理由をもって見ていない人がいるだろう。

だけど、この作品は本当に良い作品ので是非見てもらいたい。一緒に沼にはまろう。
そして、オッドタクシーを見終えた瞬間の色々な感情と感想がないまぜになったあの感覚を共有しよう。幸せのボールペンを送るからさ。