7月19日からポケモンカードを始めるためのすすめ
2024年7月19日、つまるところ今週の金曜日にポケモンカードの新弾「ステラミラクル」が発売する。
「強化拡張パック」に該当するステラミラクルでは、対戦環境に大きな影響を与えるであろう汎用カードが多数収録される。新しいコンセプトのデッキが作り上げられることはもちろんのこと、既存のデッキの多くにも手が加えられていく形となる。
また、発売日当日からは大会参加を促進するための複数のキャンペーンが実施される予定だ。
特に注目したいのが、現状ほとんどのデッキに入るといっても過言ではない、とても汎用性が高い「なかよしポフィン」が配布される「ファーストエントリーキャンペーン」である。
なかよしポフィンはカードショップで販売価格1000円前後していたカードで(今回のイベント告知後に800円前後に相場は下がったが)、このカードがショップ大会に2回参加するだけで入手できるというのは、既プレイヤーの視点から見ても控えめにいって最高のイベントとなっている。
以上2点の理由から、ポケモンカードを始めるのなら今!といえるのが7月19日なわけである。
2023年段階では品薄状態が目立ったポケモンカードだが、2024年春頃からはコンビニ等でも気軽に購入できるようになっている。
スターターセットですら手に入れづらかった状態は解消されており、大型大会も開催されていない、いわゆる休止期間にあたる現在はカードショップでのシングル価格も落ち着いている。
欲しいカードをパックを買って入手するもよし、ショップでシングル購入するもよし。ともあれ、ポケモンカードを始めるにはお財布的にも丁度良い状況なわけである。
以下、これから始める方向けに1年ぐらいまったり遊んでいるプレイヤー目線でオススメデッキを紹介する。そこまで深く掘り下げているわけではないため、気になったところをより深く調べたい場合はクローズアップしてくれている記事や動画を参考にしてもらいたい。
お勧めのスターターセット
公式から出ているスターターセット(構築済みデッキ)で、シリーズでいうと現状7種類ほどある。
価格帯の安いもの順に
exスタートデッキ(550円)
バトルアカデミー(1360円)
スターターセットex(1800円)
スターターセット テラスタル(1800円)(※2024年7月現在、既に現行レギュで使えないカードも含まれる)
バトルマスターデッキ(3000円)
スターターデッキ&ビルドセット(3600円)
スペシャルデッキセットex(5500円)
といった具合である。
値段が高れければ高いものになるほど内容物が良くなる(≒効果が強いカードが収録されている)わけだが、どのセットを買っても最低1デッキ分のカード60枚は揃っているため、ひとまずポケモンカードに触れてみたい、または友人や家族同士で遊んでみたいという話であれば、上記いずれかのセットを入手してみるのが良いだろう。
スターターには人気ポケモンが選出されていることが多い(ピカチュウやリザードン等)ので、箱に自分の好きなポケモンが描かれているものを手に取る、という形でも良い。
「どうせ遊ぶのなら少しでも強いデッキで始めたい!」という人であれば、バトルマスターデッキがお勧めである。
公式大会で結果を多く残している「リザードンex」と「パオジアンex」を中心とした構築デッキで、やや高額であることもあって、収録内容自体は他のスターターセットと比較すると群を抜いている。
それにともなってデッキとしての完成度も高く、もちろん大会優勝を狙うとするには力不足な点は否めないが、やるべきことがはっきりしているデッキなので遊びやすいことは間違いない。
「どのくらい遊ぶかは分からないけど、とりあえず始めたい!」という人に向けてのオススメでいえば、exスタートデッキの「水 ゲッコウガ」「草 ジュナイパー」の2つを個人的には推している。
値段が安いというのはもちろんだが、「ネストボール」という優秀な汎用カードが封入されているのがその理由だ。費用対効果としてはexスタートデッキシリーズの中でも一番なセットとなっている。
進化デッキというところで扱いが難しいところもあるが、逆にいえばポケモンカードの魅力により多く触れられるというところでメリットもある。
自分で1から構築する
既にカードゲームに触れているような人であれば、スターターセットではなく最初から強いデッキを組んでから遊んでみたい、というような想いを持っている人も多いだろう。他のカードゲームにおいてもそうではあるが、スターターセットは遊びやすさに重きを置いている分、大会上位に食い込めるほどの性能を持っているものはほとんどない。
2024年7月現在のポケモンカードは大型大会のない、いわゆるオフシーズンにあたる。9月から始まる予定のシティリーグ等の中級~上級者向けのイベントを目指してみたい!…と考えている人たちにとって、スターターセットでは公式大会において結果を残すには心もとないと捉えるのが正直なところであろう。それならば、構築デッキではなくカードショップ等を利用して1からデッキを作り上げたいと思うのも自然なことと考える。
以下、9月から始まる大型大会を見据えるレベルで個人的に強いと考えているデッキを5個ほど軽く紹介しておく。
ポケモンカードはカードプールの追加間隔が1~3ヶ月と極めて早いため、2024年7月時点で最強のデッキが数か月後にもその座にあり続けるとは限らない。ただ、王者の地位からは退こうとも、強いデッキが強いデッキであることにも変わりはない。たとえ今後相対的に弱くなろうとも、強力なダメージを叩き出す、あるいは効果で妨害できる能力をもったデッキを中心に紹介していく。
なお、紹介は簡易的なものにとどめてあるため、詳細なデッキレシピはSNS等で検索してもらいたい。
1.リザードンex(悪テラスタル)
2023年7月の登場から1年間、型を変えながら環境上位に食い込み続けているデッキである。
ゲーム展開が後半になればなるほど相手に与えるダメージが上がっていくという攻撃面での性能はもちろんだが、使うためのエネルギーを自前で山札から用意することができるというカード性能がシンプルに強い。4月以降は他のデッキに王者の座を譲った形となるが、6月発売の強化拡張パック「ナイトワンダラー」で若干の強化が入り、そして7月発売の新弾「ステラミラクル」での強化を受けて再びその座に返り咲くことが予想される。
リザードンex自体には山札を引く能力がないため、ドローソースとしてどういったカードを採用するかで型は異なっていく。主だったところとして「アルセウスVSTAR型」「ビーダル型」「ピジョット型」「ビーダル&ピジョット型」が存在し、「アルセウスVSTAR型」~「ピジョット&ビーダル型」の順に強さが上がっていくが、その代わりに扱いが難しくなっていく。対戦環境に影響を受けることもあって特定の型に絞って運用していくことは厳しく、そのあたりは一度デッキを組み上げてからも適切に調整していく必要があるだろう。
2.ドラパルトex
リザードンex1強といって良かった2024年前半の環境を見事に覆した、2024年6月登場の新星である。
ダメージ自体は中打点といった具合ではあるが、特筆すべきは追加効果として相手のポケモンに細かいダメージをバラまけるところである。HPの低いポケモンであればダメージを集中させることで葬れ、また、あえて倒さずにダメージを分散させることで終盤の一気に相手のポケモンを倒すといったテクニカルなプレイも可能である。また、ポケモンカードでは受けるダメージが倍になってしまう弱点タイプを基本的にどのポケモンも持っているが、ドラパルトexにはそれが存在しない。そのためリザードンex以上に場持ち性能が良く、継続して技を放ち続けられるところが強力である。
進化前のドロンチがドローソースとなることを含めて総じて高水準の性能をもつが、唯一の弱点として、技を打つために異なる2つの種類のエネルギーを用意しなければならないといったところがある。そこを補うために現在の環境ではグッズ「ミラージュゲート」、またはポケモン「ネイティオ」が採用されることが多いが、ステラミラクルで収録される「アカマツ」がエネルギーを用意する手段としては優秀であるため、今後は前述した2種類のカードを採用しないデッキも登場してくるかもしれない。
3.サーナイトex
2024年1月末のレギュ変更により純粋なデッキパワーは大きく落としてしまったものの、よりテクニカルな強さを持ち直して前線に食らい続けているデッキである。
サーナイトex自体の戦闘性能は大したものではないが、同じ超ポケモンに対してトラッシュ(墓地)からエネルギーをほぼ無制限につけられる特性「サイコエンブレイス」が唯一無比で強力である。エネルギーをつければつけるほど強力なダメージを与えられる「サケブシッポ」、エネルギーをつけた際にダメージが受けてしまうことを逆に利用した「フワンテ」等、サーナイトexの特性に噛み合ったポケモンは現状でも多い。優秀な超タイプのポケモンが今後増えていけば増えていくほどデッキパワーが上がるという点において、将来性は抜群に高いといえる。
現在は弱点をつかれてリザードンexに一撃で倒されてしまうという明確な弱点が存在するため、対策こそいくつか存在するものの、環境的な立ち位置としてやや難しいところにある。ただ様々なデッキに対して柔軟に立ち回れる性能は有しており、個人的にはポケモンカードで一番カードゲームしている感触のあるデッキなので一度は触ってもらいたい。
4.パオジアンex
パオジアンexを筆頭とした、優秀な水ポケモンを組み合わせたアグロ寄りのデッキである。
高HPの相手ポケモンに対しては高火力を持つパオジアンex、逆にHPの低いポケモンに対しては複数対象にダメージを与えられる「かがやくゲッコウガ」等を使い分け、ポケモンカードの勝利条件であるサイドカードをガンガンと取り進めていくシンプルさがウリとなっている。対戦相手が対策を怠っていれば一方的な試合を押しつけるデッキ性能を有しており、相手のデッキが上手く回っていなければゲーム開始から3分足らずで勝負を決めにいくことも可能であろう。
一方で、エネルギー加速要員である「セグレイブ」が優秀かつ明確な弱点として存在しているため、セグレイブを失った際にどうやって動いていくかといった想定は常に意識しないといけない難しさも合わせ持っている。また、エネルギーを手札に集めるためのリソース管理をしっかりしないといけないため、序盤はともかくとして終盤以降は一つの覚え違いがゲーム結果に結びつく。動きとしては単調に見えても練度が必要なる側面も多々あるため、一朝一夕で動かせるようになると過信しないことが肝要である。
5.タケルライコex+オーガポンex
ドラパルトexと同時期に登場した、パオジアンex以上のアグロ性能と火力を持つデッキである。
最速で後攻1ターン目から200以上のダメージを与えることが可能であり、リザードンexやドラパルトexといった高耐久のポケモンをも一撃で葬ることが十分可能な高い攻撃性能を有する。エネルギー加速をしつつ山札からカードを引くことができるサポート「オーリム博士の気迫」との噛み合いが非常によく、元々高いHPをポケモンのどうぐ「ブーストエナジー 古代」や「勇気のおまもり」で上昇させることでより耐久性能を上げることも可能となっている。
タケルライコex自体は2024年1月の弾から登場したカードであったが、エネルギー加速をしつつ山札を引く特性を持つオーガポンexの登場により環境デッキとして台頭してきた形となる。たねポケモンが主体となっており、手札が進化ポケモンだらけで動きづらくなってしまうといった、リザードンex等の進化デッキに見られるような取り回しの悪さが存在しないのも良い点として挙げられる。
明確な弱点としては、対策カードが複数存在することが挙げられる。たねポケモンがわざを使うために必要がエネルギー数が上昇するスタジアム「ポケモンリーグ本部」、exポケモンからのダメージを受けない「ミミッキュ」、たねポケモンからのダメージを受けなくなる「オンバーンex」等、相手に用意されると完全に詰んでしまう盤面というものは決して珍しいものではない。また、サポート「ナンジャモ」をはじめとする手札干渉手段にはめっぽう弱く、全てのオーリム博士の気迫が山札の下へいってしまい何もできなくなってしまう、といった展開も相手に狙われやすくある。
以上の5種類が、今の時期からデッキを1から組むのならオススメのものである。
他にも現在の環境には「ロストバレット」「ルギアVSTAR」「レジドラゴVSTAR」といった強力なデッキが存在してはいるが、これらは例年通りであれば2025年1月末のレギュレーション変更で使えなくなってしまうカードたちでもあるので今回のオススメからは除外した。もちろん、半年後に使えなくなってしまうということを理解した上でこれらのデッキを組んでみるのも問題はない。
ポケモンカードに興味を持っている人の一助になれば幸いである。