ニコニコ動画の静止した日~サービス停止から1週間後の備忘録~(後編)
(前編はこちらから)
ニコニコの動画のサイバー攻撃によるサービス停止から7日目である2024年6月14日。
つまりは今日の15時にニコニコ動画からサービス停止に関する情報が新しく発表された。
詳細はインフォメーションや動画の方で述べられているため割愛するとして、正直想像していた以上の状態であると多くの人は感じたのではないだろうか。
ユーザーの投稿動画が無事であること、ニコニコ漫画等の影響が少なかったサービスについては順次再開する見通しであること等、いくつかのポジティブな情報が知れたのは素直に喜ばしい。
一方で、マルウェアによる被害の甚大さやその攻撃の執拗さは、一連の行為が計画的で悪意をもってなされたことが間違いなく、また、これらの攻撃が一回では終わらないこであろうとも予感させる。
復旧に一ヶ月以上かかるという見込み自体には残念に思うところも正直あるが、今後のことを踏まえて、頑強なセキュリティー対策をしっかりと構えるために時間が必要なことも十分に理解できる。
サービスの再構築、そして復旧のために動いている関係者の方々を応援しながら、微力ながら順調にことをが運ぶのをお祈り致したい。
今回の追加発表ではいくつもの情報が確認できた。
その中で一番ポジティブだった情報といえば「ニコニコ動画(Re:仮)」のリリースについであろう。
その実態は、動画視聴やコメントといった基本的な機能のみで体裁を整えられた非常に簡易的な動画コミュニティサイトである。動画自体も2007年頃のいわば最古参動画に限られ(復旧期間の間に視聴動画の種類は変化していくようではある)、当然動画検索機能やマイリスト機能も実装されていないため、基本的にユーザーはTOPページにランダム表示された動画を閲覧するしかない。しかし、それゆえに18年前にリリースされた原始的なニコニコ動画の様相にとても近く、なんともいえない郷愁を覚えさせられる。そう感じたのは、恐らく自分だけではないことだろう。
15時のリリースから30分後には、「レッツゴー!陰陽師」を始めとする最古の動画群にコメントの弾幕形成がなされているのを確認できた。「ニコニコ動画(Re:仮)」での再生数やコメントは復旧時に加算されないと明言されているが、それを理解してなおコメントを投稿し、場合によってはコマンドを入力してまで動画内に色彩豊かなコメントが流させようとしているその様子は、なんともニコニコ動画らしい刹那的な熱意が行き交っていて笑いを抑えきれなかった。
このコミュニティサイトを3日で作り上げたニコニコ社内の有志の方々には、多大な感謝を送りたい。
6月8日から14日までの7日間。
「ニコニコ動画が見れない…暇だ…ニコニコ動画を見よう…いや見れないんだった」というやりとりを独りで繰り返してきた。何度かyoutubeの動画視聴でそれを代替しようとしたが、何度試みようとそれは無理であった。ニコニコ動画にはニコニコ動画にしかない要素があり、それを他のメディアで代用することは決してできない。大げさすぎる言い方かもしれないが、18年という歳月を経てニコニコ動画は一つの文化圏となっているのだ。コメントを投稿することもそうだが、ニコニコ動画だけで投稿され続けている動画というものも存在しており、それらを他の場所で見ることはできない(今回の長期メンテナンスでyoutube等に投稿する方も出てきてはいるが)。一時期は悪い意味で問題になったものの、週間や月間ごとの動画ランキングの存在も、その時期の流行り廃りを知るという意味では個人的には欠かせないものになっている。何より習慣化していた自分自身の動画投稿ができなくなったのは、自分でも驚くほど大変にストレスフルなものになっていた。控えめにいって中毒者の症状である。まぁまぁ笑えない。
「ニコニコ動画(Re:仮)」はニコニコ動画の長い歴史の中の一部を切り取った、非常に限定的なコミュニティサイトである。一時しのぎである側面は否めない。それでも、自分の中毒者の症状を和らげる効果は大いに見込める。なんとか懐古厨として「ニコニコ動画(Re:仮)」を活用しつつ、新たな姿となって生まれ変わったニコニコ動画の再始動を待っていくので、関係者スタッフは本当に無理をしないで頑張ってもらいたい。いや本当に。大変なのは重々承知してるし、ニコニコ動画の再始動を待ち望む気持ちには嘘偽りはないが、中毒者は中毒者なりにうまくやっていくのでうまくやって欲しい。お偉いさんは色々と休暇とかお金とか便宜を計って下さいね。
頑張って、ニコニコ動画!
コメントが1件あります。
[…] い!!さすがに今まで書いた記事を全て消して一から書き直すのは色々とメンタルに来るため、タイトル通りにここまでの記事を前編としておく。続きは後編にて!(後編はこちらから) […]