半導体業界を追跡しているSusquehanna Financial Groupの調査により、半導体を注文して納品されるまでにかかるリードタイムが20週間を超えたのがわかったことを、経済メディアのBloombergが報じています。20週間を超えるリードタイムは、Susquehanna Financial Groupが追跡を開始した2017年以来最長となり、半導体不足はますます悪化しているとみられています。

https://gigazine.net/news/20210812-semionductor-delivery-time-longer/

　新型コロナの影響もあって、日本でもテレワークやオンライン授業の実施数は確実に増えた。これが一時的なものになるのか恒久的な処置となるかは会社や学校次第ではあるが、少なくとも２０２１年現在においては継続していきそうな流れが見える。それに伴って、在宅時の環境を良くしようと色々な家電商品の需要が伸びた。特にＰＣやiPadといった商品については、 作業環境の改善を目的としてこぞって買われていった。それ以外にもWebカメラやディスプレイ、プリンターといったＰＣ周辺機器も多く買い求められた他、在宅環境の改善のためにエアコンや冷蔵庫といった白物、娯楽のためゲーム機本体の需要も短期間で大きく伸びたと聞く。あまりに短期間で著しく、だ。

　結果として、一連の商品の急激な需要によってそれらの部品の供給が追い付かなくなるのは当然なことであろう。
　特に影響が大きいものとして、半導体が色々なメディアで取り上げられることは色々な人が知るところである。

半導体不足の主要な要因の一つは、新型コロナウイルスの世界的流行を経た半導体需要の回復が、多くのメーカーの予測を上回っていたことです。4年周期で浮き沈みを繰り返す「シリコン・サイクル」に従って景気循環を行うといわれていた半導体業界ですが、2017年以降は車載システム、5Gスマートフォン、データセンターなど各方面で需要が高まり続ける「スーパーサイクル」に入っていました。しかし、2019年に米中摩擦によりやや先行き不透明に。そんななかで新型コロナウイルスが世界的に流行し、各メーカーは半導体の注文・生産の抑制に踏み切ったのです。
しかし、予想に反し半導体市場は急回復。各業界で半導体の奪い合いともいえる状況が発生しました。

https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/it/article-99

　上記記事にあるように、半導体不足についてはそもそもの予兆はあったようだ。その流れを決定的にしたのは、やはり例のウィルスである。多くの工場が人員不足等を原因に停止、あるいは規模縮小を余儀なくされ、結果として様々な分野において少ないパイの奪い合いが起きてしまったらしい。米中間の経済制裁による影響も小さいものではないが、新型コロナウィルスによる製造工場の就業形態の変化が大きいのは間違いない。


　６月頃からエアコンの製造が追いついていないというニュースを目にしてから家電量販店を覗くようにしているが、例年に比べると値段の下がり方が少ないような印象がある。
　たとえばプリンターだ。同人誌を作るときにはよくお世話になるため新商品はよく覗いているのだが、発売から半年も経てば７０００～８０００円ほど下がるのが常だったグレードの機種が、今は２０００～３０００円ほどしか下がっていないのが普通だ。下手をすればほとんど値段が下がっていない商品も存在している。テレワークによる需要増加を加味して店側が値段を下げていないとも考えられはするが、それにしては商品自体の在庫も少ない状況が続いている。取り寄せで注文しようとしても、１ヶ月ほどかかるという今の状況は、新型コロナウィルスが流行する前から考えれば異常な状況としか言えない。
　おそらくだが、これも半導体不足による生産数への影響が大きいのだろう。


　多くの家電商品は、基本的に１年に１度は新モデルが発表される。新モデルが出れば旧モデルは値段の安い特価品として売り場の導線に出されていたものだが、そもそも今の状態では旧モデルになるはずだった現行商品の入手すら難しいという状態だ。いやむしろ、新モデルすら入手は難しいと考えるべきだろう。
　ワクチン接種により感染や発症状況の改善は見られたものの、失われた雇用が即座に回復するわけではない。一度閉じられてしまった工場を再稼働するには時間もお金も必要であり、それが２０２１年中になされるとは到底考えづらい。


　お目当てだったディスプレイや空気清浄機も御多分に漏れず値段がいまいち下がらず絶賛足踏み中なのだが、今の状態から考えるとある程度の妥協はやむを得ないようだ。新商品が出るのを待っていると数ヶ月単位で待たされる。そんな痛い目にあってしまうに違いない。