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【感想】ATRI-My Dear Moments--45日間の恋の物語

ATRI-My Dear Moments-タイトル画面 © Aniplex Inc. All rights reserved.

 ANIPLEX.EXEから発売している「ATRI -My Dear Moments-」をクリアしました。
 発売日は2020年6月19日で購入したのも1年近く前になるのですが、体調不良やら重なって結局やり終えたのは今の時期に。月に2~3時間のペースでゆっくり読み終えた形で、総プレイ時間は20時間弱といったところ。特別長かったわけではないのですが、主人公以外フルボイスってことでなかなかボリューミーでしたね。

原因不明の海面上昇によって地表の多くが海に沈んだ近未来。
幼い頃にトンネル崩落事故で片足を失った少年・斑鳩夏生(いかるが なつき)は、とある事情から海辺の田舎町へと移り住む。身寄りのない彼に残されたのは、海洋学者であった亡き祖母の残した船と借金だけ。
借金返済のため、彼は潜水艇に乗って海の中にあるという祖母の遺産を探し続けていた。

そんなある日。彼は海底の倉庫でカプセルに入った一人の少女の姿と出会う。
少女の名前はアトリ。今より技術水準が上だった数十年前に開発された人型ロボットーーヒューマノイドである。

――マスターが残した最後の命令を果たしたい。

アトリはそう告げ、自身が夏生の「足」となることを提案する。
一人の少年と一体のヒューマノイドの、45日間の忘れられない夏がそうして始まった。

ATRIあらすじ


 あらすじはこんな感じ。45日間という短い間に綴られる、ボーイ・ミーツ・ガールの物語です。
 以下、微ネタバレ感想⇒ネタバレ感想といった感じで続きます。
 気になった人は2000円くらいで遊べるので是非遊んでみて下さい。



DLsiteの方でもたまにセールやっているのでお勧め。
ATRI -My Dear Moments-(DLsite)



ひたすらかわいいアトリ(微ネタバレ)

 「ATRI -My Dear Moments-」 は基本的にアトリ観察日記といって間違いはないでしょう。体感80%のシーンにアトリが出てきます。他の20%も大変魅力的ではありますが、ひとまず割愛します。
 さて、となるとアトリを気に入るかどうかがゲームの評価の肝になるわけですが。少なくともぼくは、今まで遊んだゲームの中でトップ10に入るくらいにはアトリのことを気に入っています。具体的に言うと、アトリのかわいさを眺めることを目的としてゲームを進めていましたので。当然といえば当然でしょう。


 作中でも言われるようにアトリは結構「ポンコツ」です。

 主人公である夏生を間違って海に落としたり、料理を焦がしたり、子供と張り合ったり。
 学習していく中で持ち前の高性能っぷりを発揮して改善はしていくけれど、それでもどこか必ず抜けていたり。

 それでもめげずに、むしろ自分の高性能っぷりをアピールし続ける様子が何とも愛おしいのです。
 個人的に好きなシーンは、 夏生への好意を自覚してやたらテンションが高くなっていたところ。恋してキャッキャッしている女の子はひたすらかわいい。照れている姿はもっとかわいい。写メって未来永劫残しておきたい。
 
 
 シナリオ的なかわいさはもちろん、キャラクターデザインのゆさのさんのデザインがとても素晴らしく。また、声優の赤尾ひかるさんの声がとてもマッチしており。いくつもの要素が相乗的に絡み合って、ものすごい完成度を誇っているんですよね、アトリ。


「心」の物語(ネタバレ)

 そんなアトリのかわいさをひたすら追いかけていく最中で、その仕草全てが作為的に表現されていたものと告げられる物語中盤の件はだいぶショックを受けました。実際1ヶ月くらいプレイ休みました。夏生も辛かっただろうけど、イチャついている二人をまったり眺めていたぼくも突然風景が一転して辛かった…。


 そして、「ATRI -My Dear Moments-」 の要はこのシーンから始まるともいえるでしょう。
 自分の大切に想っている相手の行動が、実はただ自分が望むであろう行動を反射的に返しているだけにすぎず、そこに本人の意思が全く反映されていなかったとしたら。奴隷と主人の主従関係ならいざ知らず、それが相手の根底にあるとしたら強い衝撃を受けてしまうのは仕方がない。しかし、それだけで心が本当にないと決めつけられるのか。
 ロボットとの恋愛における「心」とは何かという部分に焦点を当てたシーンではありますが、このあたりの相手も自分と同じことを考えているのか、という部分については恋愛に限らない普遍的なテーマでもあるので読んでいて面白かったです。

 アトリの根源たる「悲しみ」で心の所在が確立し、それが「悲しみ」だけではなく「喜び」も内包していたと描き出すシナリオの運び方は、素直にうまいなぁと感じました。



 個人的にはファンディスクのような追加シナリオ集に期待したいのですが、TRUE ENDで全ての終わりが描かれている以上、 それは少し望みにくい気はします。とはいえ「ATRI -My Dear Moments-」 の世界観、そしてそこに登場するキャラクターたちは非常に魅力的なので、この1作で終わらせるのはちょっともったいないなぁと感じてもしまいます。
 凜々花のアカデミーのストーリー、夏生の父親のロケット開発の物語、キャサリン先生の次の教え子たちのお話…そのあたりを主軸にして同世界観の物語を眺めてみたいなぁと思う次第です。

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