【感想】映画『フリー・ガイ』~恋愛映画のガワを被ったデッド・プール~
2021年8月13日に上映開始した映画『フリー・ガイ』の感想です。
最近わりとよく見るネットゲームを舞台とした映画。あらすじ的にはあまり惹かれなかったというのが正直なところなんですが、 主演がライアン・レイノルズということで鑑賞した次第。でもまぁ、この映画を能動的に見に行く人は大体そんな感じはする。脚本家の一人がザック・ペン(1作目『アベンジャーズ』や『レディ・プレイヤー1』の脚本担当)だから見に行ったという人もいるだろうけど、1番はライアンじゃないのかなぁ。
ということで、期待値はそんなに高くなかったのが正直なところです。
ところがまぁ蓋を開けてみてびっくり。想像していた5倍くらいは面白かったのである。
恋愛映画主軸なのかなぁと鑑賞前は思っていて、そういう要素がないわけじゃないんだけど、違った。鑑賞後としては「ライアン・レイノルズの顔の良さを前面に出したギャグ映画」という評価に個人的には落ち着いた。エログロ描写を『抑えたデッド・プール』と言えなくもなく、伝わる人は伝わるはず。あるいは『キングスマン』とかその類とかでもニュアンスは伝わるかもしれない。
エログロがない『デッド・プール』ってそれ主食抜けてない?と思う人もいるだろうけど、あの伊吹はきちんと映画内で感じられる。まだ見ていない人は是非期待して見に行って欲しい。
以下、ネタバレありの感想なので閲覧注意。
平凡で退屈な毎日を繰り返す、銀行窓口係の男=ガイ。
フリー・ガイ あらすじ
ある日、自分がゲームの世界の“モブ(背景)キャラ”だという、 <衝撃の真実>に気付いてしまう…。
そして、新しい自分に生まれ変わるため、彼は自分勝手に立ち上がる!
はたしてガイ(モブ男)は、愛する彼女と街の平和を守り、 主人公=ヒーローに成り上がれるのか!?
『フリー・ガイ』の何よりの魅力はライアン・レイノルズが主演であることだ。
他の俳優の演技が悪いというわけではもちろんなく、むしろライアン・レイノルズの演技に埋もれることなく、それぞれが自分の扮するキャラクターを余すことなく伝えることに成功していると言っていいだろう。ヒロインであるジョディ・カマーは言うに及ばず、今作のもう一人の主役を演じるジョー・キーリーも実に見事にその役を表現している。個人的なお気に入りでいうと、 場面に顔を出すたびにコミカルな雰囲気を作り出してくれるガイの親友・バディを演じるリル・レル・ハウリーを推したい。他にもユニークなキャラクターたちが登場していて、どのキャラも魅力的だ。なので、改めて言うが彼らの演技が悪いわけでは決してない。
それでもやはり、ライアン・レイノルズが主演であることが最たる強みである理由。それはモブからヒーローへと変身していくモブキャラ・ガイというキャラを、実に見事に彼が表現していることに尽きる。
ガイはネットゲーム・フリーシティーのNPCの一人だ。彼がとある出会いをきっかけにヒーローを目指していくことになる、というのがお話の流れなのだが、モヤモヤを抱えながら生きていた「NPC」であるガイが、ある目標を手に入れたことで「ヒーロー」であるガイへと顔つきを変える。その切り替わったあとの顔つきが本当にライアン・レイノルズだからこそ出せるものとして映画に色をつけている。それが実に良い。
さすがに顔がまんまのディードはやりすぎだと思ったけど。いやすっごく笑ったけどさ。
それ以外にも色々なゲームや作品のパロディがあって面白かったですね。ディード戦のシールドとか、ディード戦のセイバーとか。ロックバスターやフォートナイトの例のアレとか、遊び心も大変感じられました。それ以外にもどうやら実在の海外ストリーマーがゲスト出演していたようで、その辺も作中のテーマをうまく表現するのに一役かっていたように思えます。
一番好きなのは最後のラブレターの件。世界一優しいAIに託されたラブレター。素敵。
続編にも意欲的な話をちらっと見かけたので、応援していきたいと思います。