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【感想】マーベルドラマシリーズ『ロキ』が面白かった話

 『ロキ』を見終えたのでその感想記事です。
 『アベンジャーズ/エンドゲーム』で四次元キューブを盗んで逃亡した彼がどうなったのか…というスタート地点から始まるこの物語。多次元宇宙を扱う作品が大好きな自分としても期待していたのですが、その期待以上に仕上がっていてとても嬉しかったです。


 シーズン1全6話は好評のうちに完結を迎え、シーズン2の製作決定の報も既に出されています。完結してから見るという予定を組んでいる方もいるとは思いますが、シーズン2の予告諸々が公開される前に楽しんで見てもいいのではないでしょうか?
 ディズニープラスで絶賛公開中!

 以下、微ネタバレあり⇒ネタバレあり感想で記述していくのでご注意下さい。
 未鑑賞の方については、ほどよいところで切り上げて本編を見始めるのを推奨致します。


あらすじ



 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新作ドラマ『ロキ』。

 人気ヴィランである彼を主役にしたこの作品は、2021月6月9日からディズニーの定額ストーリミングサービス『ディズニープラス』で公開された。ボリュームとしては『ファルコン&ウインター・ソルジャー』を始めとする他のMCUドラマと同じく、1話あたり1時間弱×6話の構成で製作されている。一般的な海外ドラマが1シーズン24話程度で作られていると考えると、だいぶ少ない。とはいえMCUドラマは2021年7月現在では2ヶ月に1本ペースで公開されているため、週1本見るペースでも全て見終えることのできる今のボリューム自体が丁度よくはありそうだ。

 『ロキ』の主人公であるロキは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』で登場した四次元キューブ(スペース・ストーン)を盗んで逃亡した彼である。彼の行く末とあの行為から引き起こされるタイムパラドックスについては、エンドゲーム公開時から色々と物議を醸し出した。『ロキ』はそれについての解答であり、彼を中心としたMCU作品を見る際の視点を新しく提供してくれる。

 2012年ニューヨークの戦いで四次元キューブを偶然にも手に入れたロキは、アスガルドに幽閉される本来の歴史とは異なり、アベンジャーズの元から見事に逃亡を果たす。

 しかし自由に過ごせる時間などなかった。砂漠に転移したのも束の間、彼はTime Variance Authority―通称TVAと呼ばれる組織によって捕らえられてしまうのだった。

 神聖時間軸と呼ばれる時間の流れを守護する彼らにとって、今回のロキの逃亡は到底見逃せるものではない。ロキは本来の時間軸とは異なる存在『変異体』として処分されそうになってしまう。
 処分される寸前、TVAのメンバーであるメビウスはそれに待ったをかける。
 メビウスはロキに対して、とある変異体の追跡への協力を要請する。今なお逃走を続ける、別の変異体・ロキの追跡を。

『ロキ』あらすじ


 あらすじはこんな感じでしょうか。

 エンドゲームでも時間の流れについて言及されていましたが、そこからさらに深く踏み込んだのが『ロキ』になります。劇中では頻繁に時間移動が行われ、違う時間、違う場所、違う天体へ次々と場面が移り変わっていきます。ロキの初出となる映画作品『ソー』も、シリーズを通して色々な舞台が登場しました。本作はその流れを踏襲しているような印象です。
 上記に加え、TVAや神聖時間軸を始めとする新用語も多数登場するのも魅力の一つでしょうか。SF知識が多少ないと正直理解しづらいのは否めないものの、逆にいえば、SF要素が好きなファンにとっては結構好まれる世界観となっている印象です。正直、このあたりのマルチバース要素に足を突っ込み過ぎた話は映画シリーズではやりづらい側面はありますし、ドラマシリーズできちんとやってくれたのは個人的に高評価です。

 もちろん世界観以外にも魅力的なメンバーが揃っています。
 TVAにおけるロキの相棒であるメビウス、反対にTVAでロキを危険視するラヴォナ、TVAのマスコットであるミス・ミニッツ、そして別の変異体ロキであるシルヴィ。
 個人的に好きなのはメビウスです。年上のオジサンの相棒、良いよね。


ロキにしかできなかった物語



 何故ロキが主人公なのだろう?と思った鑑賞前。
 鑑賞後には、これはロキでなければできない物語だったと深く納得しました。
 

 5話でみんなの腹を破壊しつくした変異体ロキ軍団なんて、ロキじゃないとできないギャグシーンだったもんね。
 ロキ全員が一斉に裏切りだすパート、絶対あそこみんな楽しんで作ってたよ!
 
 
 確かにギャグではある。しかし、シリアスに捉えると彼の悲しい運命を意識せざるをえない。
 ロキはヴィランという悪役で、味方を裏切ることもまた避けられない。何度も生き返ってみせるトリックスターだけれども、最後には負けてしまう。その運命から逃れるよう試みるロキもいるけど、そうしたロキは変異体としてTVAから処分対象とみなされてしまう。ヴィランではないロキは決して正史として認められないのだ。
 変わろうとして努力しても、歴史からありえないものとして排除される。「虚無」に至ったロキたちもその考えに至り、あの場所で自暴自棄になっていた部分はあるのだろう。

 
 だが、今回のロキは違った。
 自分自身とは違う変異体であるシルヴィに可能性を見出し、行動し始めた彼。そんな彼を見て、それまでの考えから変わっていくキッドロキとクラシックロキ(とワニロキ)。
 あの一連の流れが映像として結実する幻影アスガルドのシーンには、涙するしかなかった。
 ロキたちが自分自身の別の可能性に希望を見出すという、あの一連の文脈は彼が主役でなければ産みだせなかった感動だったと思う。


 話はここで完結するのか、と思っていたところで全てがうまくいくわけはなく。
 在り続けるものを倒してしまったことで神聖時間軸は崩壊し、ロキとシルヴィも離ればなれに。
 再会したメビウスもロキのことを覚えておらず、TVAには在り続ける者の像が屹立。


 シーズン2は果たしてどうなるのか。楽しみにして待ちたいと思います。

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